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開催報告:乳幼児の股関節、M字開脚とその先

開催報告
開催報告

乳児期だからこそ出来る、股関節疾患の予防となる、M字開脚。早期発見と早期予防で、40年以上先の股関節を守る。成人後、大きな負担となる治療を回避する鍵は、生まれてすぐからできる、M字型の開脚姿勢と自然な動きを妨げないこと

2024年5月16日に行われた、オンラインイベント開催の様子をご報告します。

<概要>
乳幼児の股関節、M字開脚とその先
開催日 2024年5月16日 15:00-17:10
講師
 公益財団法人 日本股関節研究振興財団 理事長 別府 諸兄先生
 社会福祉法人 信濃医療福祉センター 理事長 朝貝 芳美先生
主な内容 発育性股関節形成不全の実情、成人後の影響や治療方法
お申し込み 82名
主な参加者背景 助産師、ベビーウェアリングコンサルタント、子育て支援員
イベントページURL https://jaba2024-evt01.peatix.com/

開催の背景

股関節脱臼の予防として普及している「M字型の開脚」は、母子健康手帳や乳幼児健診の確認項目としても定着しています。さらに、抱っこ紐の取扱説明書にも多く記載されるようになっています。しかし、一般のパパ・ママが適切な姿勢や、将来の影響について理解する機会は限られていると感じています。

このような背景から、乳幼児の健康に携わる医療従事者や子育て支援者に、M字型の開脚に関する正確な情報を共有する場を提供することが必要だと考えました。参加者一人ひとりが講座で得た知識を実践に生かし、子どもたちの健康を支える一助となればという思いから、このイベントの開催に至りました。

主な内容

  • 乳幼児の股関節:大人との違いと発達
  • 成人後のQOLに影響が及ぶ背景
  • DDHを防ぐための、新生児期からの抱っこの注意点
  • 健診の現状、DDH予防、学会を超えた協力体制の構築

朝貝先生:乳幼児の股関節

発育性股関節形成不全(DDH)の概要が紹介され、乳児の股関節脱臼のリスクや予防について具体的な事例を交えながら説明がありました。特に、生まれた直後から適切な対応をすることで股関節脱臼を予防できるという点が強調されました。超音波やX線画像を用いた診断と予防の効果についても紹介されました。

たとえ、診断がつきづらい臼蓋形成不全であったとしても、早期発見や日常的に脚の自由な動きを妨げないことで、正常な股関節への発達へ進める可能性が示されました。

別府先生:変形性股関節症の治療

乳児期にDDHが見逃され、成人してから痛みを伴う変形性股関節症になるリスクが高まることが示されています。運動の制限も生じる場合もあります。治療方法としては保存療法と手術があり、保存療法は生活習慣の見直しや理学療法、手術は人工股関節置換術が一般的です。手術には多くの検査や輸血の必要性があり、それが大きな負担となることもあります。

この大きな負担を、乳児期からのM字型の開脚姿勢、自由な動きを妨げないことで予防できるなら、予防を徹底するに越したことはない、ということが分かると思います。

小児股関節ステッカー

DDHの予防や医療体制などについて、3名の整形外科医の対談動画を中心としたページへのQRコード入りステッカーの紹介をしていただきました。ステッカーは、支援者・医療従事者に加え、一般の養育者も使えるように活用していただきたいと思います。

ステッカーは、日本股関節研究振興財団のページから取り寄せも可能となっております。

公益財団法人股関節研究振興財団 | 小児と股関節

参加者の声

参加者の満足度は84%。イベント内容の丁寧な事前のご案内で、改善してまいりたいと思います。
そのほか、参加者の皆様から寄せられた声の一部をご紹介します。

助産師教育で乳幼児の股関節脱臼の予防や早期発見の授業に活用できます。昨今、母親側の向き、外向きの抱っこなど様々な情報がありますが、M字の姿勢+母親との関係づくりの視点の大切さを改めて理解できました。ありがとうございました。
<助産師/保健師/看護師;教育機関教員>

日本では生後1ヶ月の検診で股関節の超音波検査が実施されないゆえに、今でも股関節形成不全が発覚されず、40代ではじめて痛みが現れるということを考えると、正しいベビーウェアリングによる予防がいかに大切か改めて実感しました。
<ベビーウェアリングコンサルタント>

新生児のときの対応が生涯にかかわること、正面コアラ抱っこのあたたかさを見直すことができました。
<その他>

不適切な抱っこや育児の方法でDDHを起こしてしまうことがないよう、妊娠期から情報提供や技術指導を行って行きたいと思いました。
<助産師/保健師/看護師>

今後の期待

2024年5月現在、乳幼児期に画像診断による股関節健診を取り入れいてる自治体はありますが、多くはありません。ぜひ、自治体の母子保健や子育て支援の管轄部署の方々にもDDHの早期発見・早期予防が広がり、日本中どこに暮らす赤ちゃんでも、股関節が守られる体制構築を期待します

終わりに

診療や多くのご活動でお忙しい中、貴重な時間を特別講師としてご登壇いただいた別府先生と朝貝先生に心から感謝申し上げます。専門知識と情熱に触れる機会を得られたこと、そしてご参加の皆様にとって有益な情報を共有できたことを嬉しく思います。参加者からの質問に対する丁寧なご解説に、多くの読者の方々からも感銘を受けておりました。特に、別府先生には、朝貝先生のご登壇をご提案くださった他、打ち合わせでは多くのご助言を賜りました。この場を借りて、心よりお礼申し上げます。

最後に、多くの皆様のご参加が、講座にとって何より欠かせない存在でした。一人でも多くの支援者・医療従事者へ広めてくださいますよう、お願い申し上げます。そして、日本中どこにいる親子でも、適切なケア・助言が得られるよう、お力添えいただけますと幸いです。

参考サイト等

日本ベビーウェアリング協会のお知らせ
📗刊行物 無料でダウンロードでき、製本版の購入も承っております。
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🗓️イベント 当会の今後のイベント予定はこちらでご確認いただけます。

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