当団体で刊行した冊子「あなたと赤ちゃんにあう抱っこひも選びガイド」の深堀りシリーズをお送りします。
はじめに
2020年、ブログで取り上げてほしいテーマについて、JaBA会員から意見を伺いました。その中で、新生児の抱っこについて深く知りたい、といった声がありました。産院や医師・助産師によって新生児の抱っこ指導方法が異なること。加えて、抱っこの方法を教授している団体によっても、横抱きや縦抱きなど考えが様々であること。これらの背景から、気になる支援者やコンサルタントの皆さんがいるようでした。そこで、妊産婦にとって身近な存在である、助産師さんの状況や母子健康手帳に記載される内容等について、ご紹介して行きます。
1● 助産師さんの産後ケア
2019年3月に発行された
『助産師今こそ知りたい助産師のための産後ケアガイド』(日本助産師会 産後ケアガイドライン特別委員会編)では、標準的なケアとして、
子どもと養育者の胸を密着させ、お尻を支えるように抱き、抱っこ紐使用時も同様にするよう記載されています。
2● 母子健康手帳 任意様式(厚生労働省)
母子健康手帳には、省令様式と任意様式が定められており、前者は母子の状態を一元管理する為に必須の掲載項目、後者は各自治体によって掲載を任意で決められる項目となっています。その任意様式のなかに、日本小児整形外科学会のパンフレットを引用する形で、股関節脱臼を予防する観点から、
(子どもと養育者が顔を向き合わせる)正面抱きを推奨しています。(リンク先 任意様式19ページ目)
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母子健康手帳様式 厚生労働省
参考:東京都新宿区の母子健康手帳、2015年と2020年とで改定されており、股関節脱臼予防の為に日本小児整形外科学会のパンフレットが引用されています。
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日本小児整形外科学会 股関節脱臼予防パンフレット
3● まとめ
股関節の発育、気道の確保の点で、赤ちゃんの安全性確保に直結するポイントを守る為に、抱っこ紐を使う場合、縦抱きの方が理想的な姿勢を保持しやすいことが研究によって分かっています。
また助産師の養成課程において、”抱っこ紐の使い方”に関する項目は一般的ではないようです。産院の助産師や検診時の保健師等による、抱っこの指導をそのまま守る養育者が多いのが現状と言えると思います。
新生児期、パパもママも外部からの支援などを得て、ゆったりと過ごせることが一番です。しかし、それが叶わないご家庭もあります。赤ちゃんのお世話をしながら、家事や仕事、上のお子さんのお世話で忙しい場面では、抱っこ紐を使うことでQOLを上げることも期待できると思います。
ただし、その際にはしっかりと首や身体を支える事、また長時間同じ姿勢にならないよう注意が必要です。
産前産後ケアや子育て支援をしている方は、ご家庭それぞれの状況やニーズに合わせて、選択肢を提案できると良いと思います。(
協会のポリシー)
※低体重や何かしらの疾患等を持つ状態で出生した赤ちゃんの場合は例外もありますので、必ず専門医と相談の上で抱っこの方法を検討することに留意しましょう。
(※こちらの記事は、2年前に会員限定でお送りした「そこが知りたい!」を加筆・修正という形で投稿しました。)
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コメント
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