11月17日は、世界の早産における課題や負担に対する意識を高める、重要な記念日の一つです。2008年にヨーロッパNICU家族会(EFCNI)および家族会によって制定されたそうです(参考 日本NICU家族会機構・JOIN)。
早産とは?人数は?
早産とは、妊娠満37週未満に赤ちゃんが生まれてくることを指します。世界では、1,500万人(約10人に1人)の赤ちゃんが生まれています。(参考 日本ユニセフ協会、ユニセフ)日本における早産の赤ちゃんは、約6%の割合とされています。(参考 Small Baby)
肌と肌のふれあいを
世界早産児デーは、毎年テーマが決められます。今年のテーマは?
肌と肌のふれあいを通した、赤ちゃんとその親への生理学的、心理学的効果はいくつもの研究等で証明されています。特に、早く生まれた赤ちゃんにとっての”肌と肌のふれあい(Kangaroo Mother Care; カンガルーケア)”は大きな意味を持つようです。
経験から想う、抱っこの貴重さ
ここで、日本ベビーウェアリング協会 理事の光武さんの経験と想いをご紹介します。光武さんは、お子さんのお一人を早産で出産されました。その時の経験と、肌と肌のふれあいについての想いを、世界早産児デーに寄せて、綴ってくれました。
長女は29週、1,200gの極低出生体重児で生まれました。入院中、親としてできることは搾乳と面会程度。早産は原因不明と頭で理解していても、精神的にはいつも正期産まで育ててあげられなかった罪悪感でいっぱいでした。
直接授乳がまだ出来ない時に、幸せな時間をくれたのは、肌と肌を合わせた抱っこによるカンガルーケアでした。1日2〜3回、各1時間弱。ただし、父親の面会者がいる時は、肌の露出を考慮し、母親によるカンガルーケアは出来ません。病院からの帰り道は、いつも後ろ髪を引かれていました。
その後、第二子出産を機に抱っこについて学ぶ中で、ドイツではNICUの面会時に専用の抱っこ紐を使うことで、プライバシーを守り、身体的な負担を軽減することで長時間カンガルーケアする方法があることを知りました。
今、日本のNICUでも様々な取り組みが始まっています。
私自身も「がんばりっこ」(※)の親としても、ベビーウェアリングコンサルタントとしても、親子双方がより快適で絆を深められる抱っこが出来る環境づくりに関われるよう、これからも学びを深めて行きたいです。
※一般社団法人未熟児家族支援・がんばりっこが作った、未熟児、病児、障害児、お空っこたちの愛称です。
“がんばりっこ”のインスタグラム。光武さん親子も参加した、大阪でのイベントの様子です。
早産児と抱っこ
抱っこによる親のぬくもりを得られることは、早産児やNICU退院後の赤ちゃんだけでなく、親にとっても生理的・心理的なメリットがあると示唆されています。
肌と肌を触れ合わせる、カンガルーケアの実施には、赤ちゃんの安全のために一定の条件があります(参考 根拠と総意に基づくカンガルーケア・ガイドライン(完全版))。
お互いに、一番近くにいたいママ・パパと赤ちゃん。1日でも早く、抱っこでぬくもりを感じ、お互いの呼吸を間近に感じられることを、日本ベビーウェアリング協会は祈念します。
合わせて読みたい
参考
- 日本NICU家族会機構・JOIN 世界早産児デー
- 公益財団法人 日本ユニセフ協会 赤ちゃん「10人に1人」早産
過去10年で早産児1億5,200万人ユニセフなど、早産予防の行動を呼びかけ - unicef World Prematurity Day 2023
- Small Baby 低出生体重児・早産児の違い
- 一般社団法人 未熟児家族支援・がんばりっこ
- 公益財団法人 日本医療機能評価機構 根拠と総意に基づくカンガルーケア・ガイドライン(完全版)
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