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抱っこ紐を「調整」の目線で選んでみる①

抱っこ・おんぶのおはなし
抱っこ・おんぶのおはなし

抱っこ紐の選び方について、当団体で刊行した冊子「あなたと赤ちゃんにあう抱っこひも選びガイド」の解説。深堀りシリーズ4回目をお送りします。

ガイドの紙面だけでは伝えきれなかった内容を深掘りして紹介します。パパ・ママへ向けた、わかりやすい内容にしています。加えて、妊産婦さんに関わる医療者や子育て支援者等の方にとっても、それぞれの業務で活用いただける内容でもあると思います。ご意見、ご感想お待ちしております!

抱っこひも選びガイドは、次のような構成になっています。今回は、多様な抱っこ紐の紹介をしているページの紹介前編です。【選び方のポイント①目的に合わせること】その1を取り上げます。

  1. 快適”素手抱っこ”を抱っこ紐で再現すること
  2. パパ・ママの置かれている状況に合わせた、抱っこ紐の選び方
  3. 選び方のポイント①目的に合わせること
  4. 選び方のポイント②赤ちゃんの成長に合わせること
  5. よくある質問
  6. 抱っこ紐 装着の5つのポイント解説

1.抱っこ紐の選ぶ目線2つ:目的と赤ちゃんの成長

大切な大切な赤ちゃんを抱っこするための道具、抱っこ紐。いろんな選び方があると思います。多様な使い方ができること、予算、好みの形・色・素材、付け心地、見た目、ブランド…などなど。

「(親子の状況)目的に合わせる」「赤ちゃんの成長に合わせる」。この2つの目線で、JaBAのガイドブックでは抱っこ紐の選び方をご紹介しています。今回のブログでは、一つ目「(親子の状況)目的に合わせる」ことについてみていきます。

2.抱っこ紐を使いたい4つの目的と注意点

ガイドブックで紹介している、抱っこ紐を使いたい目的は次の4つを設定しています。それぞれに、注意点があります。ご自分の「抱っこ紐を使いたい目的」に近いものを読んでみましょう!目的の背景など、詳細については前のブログもご参考ください。

A.新生児期から使いたい

赤ちゃんの体が柔らかく、特にデリケートな時期です。新生児期に安全で適切な姿勢を保てる抱っこ紐は限られます。単に月齢や体重だけで快適に使えるかどうかは判断できないのも、新生児期の特徴です。購入前にベビーウェアリングコンサルタントに相談することを強くお勧めします。(参考:新生児から定頸前の赤ちゃんと抱っこ)(参考:抱っこ相談所一覧
抱っこ紐を選ぶとしたら、しっかり体全体を支えられるもの、頭首の部分を優しく支えられるものであることが重要です。さらに、縦抱き用の抱っこ紐では、小さい股幅にも合わせられる抱っこ紐であることに注意します。

「小さい股幅に合わせる」ためには、次のポイントが大切です。特に、新生児の場合は、生後2〜3週間まで脚が開きづらいことに注意します。

  • 膝裏から膝裏が無理なく支えられる。
  • 膝下を下ろして自由に動かせる。
  • 無理のないM字開脚の姿勢を取れること

水平に横抱きする抱っこ紐では、脚が無理なく、左右対称にM字開脚の姿勢を保てることも大切です。(参考1:赤ちゃんが股関節脱臼にならないように注意しましょう

利用可能な抱っこ紐(※メーカーにより使用開始時期は異なります)
バックル式タイプ、ハーフバックルタイプ、1枚布タイプ、リング付きスリング、(次回の深掘りで紹介)成型された布タイプ

B.手早く装着したい

ウエストベルトを締めて、肩紐をかけて、紐を引き締める。もしくは、紐を引き締めるだけ、赤ちゃんを座らせるだけ、といったものもあります。簡単で、手早さが魅力です。

一方、調整できるパーツが少ないため、フィット感を得るには工夫が必要なこともあります。また、使用可能な期間が、首すわり後〜や腰座り後〜など限られることもあります。購入前に、メーカーホームページ等で情報をしっかり確認することが大切です。

利用可能な抱っこ紐(※メーカーにより使用開始時期は異なります)
バックル式タイプ、リング付きスリング、
(次回の深掘りで紹介)成型された布タイプ、成型されたスリング、ヒップシート

C.身体の負担を減らしたい

体の負担を減らすには、広い面積で赤ちゃんの体重を支えられることが大切です。「広い面積」というのは、背中、肩、腰で、紐・布・ベルトが食い込まずに、できるだけ広い面積で触れることができること。各種パーツが広げられる素材である抱っこ紐であると、負担軽減につながりやすいです。

ただし、布というのは、扱いになれる必要もあります。メーカーの説明書、ホームページ等が参考になります。メーカーによっては、購入前後のお客様サポートで相談を受けています。ぜひ利用してみましょう。ベビーウェアリングコンサルタントから使用方法について講習を受けるのも一つの方法です。(参考:抱っこ相談所一覧

また、赤ちゃんが大きくなってきたら、おんぶで大人の体の負担軽減もできます。(山登りの時、重たい荷物は前ではなく、背負うと歩けますね!)

利用可能な抱っこ紐
ハーフバックル式タイプ、1枚布タイプ、おんぶひも

D.おんぶがしたい

前項の「C.体の負担を減らしたい」でも述べましたが、赤ちゃんが大きくなってきたら、おんぶをするのもお勧めです。中には、おんぶだけが出来る製品もあります。

おんぶが可能になる時期は、製品によって異なります。購入前に、メーカーホームページ等で情報をしっかり確認することが大切です。

利用可能な抱っこ紐(※メーカーにより使用開始時期は異なります)
バックル式タイプ、ハーフバックル式タイプ、1枚布タイプ、おんぶひも

3.抱っこ紐、装着の3つの基本手順

ここでは、どのような抱っこ紐でも共通して言える大切な、装着の3つの基本手順をみていきます!
抱っこ紐は形、部品、素材など、多種多様です。しかし、共通する基本的な装着手順は、1. 準備(調整)、2. 抱き入れ、3. 引き締めの3ステップです。

これで、安全で快適な装着感を作ります。

安全で快適な装着感を実現するためには、装着前の準備(調整)が最も大切です。準備が装着感の全てを決める!と言っても過言ではありません。準備というのは、親子の身体に合わせて、抱っこ紐の部品や紐を調整することです。この3つの基本手順については、今後の深掘りシリーズでお伝えしていきます。

まずは、その基本手順を念頭に入れた上で、抱っこ紐のタイプをみていきましょう!

4.調整が細かくできる抱っこ紐

市場にはたくさんの抱っこ紐がありますが、今回のガイドでは「調整」という点から、抱っこ紐を大きく2つに分けています。

一つは調整が細かくできるタイプ、もう一つは調整が限定されるタイプ。今回は、調整が細かくできるタイプをみていきます。それぞれ、お勧めできる状況別A〜Dと照らし合わせると、自分の目的に近いものを選ぶことができると思います。

バックル式タイプ

街中で最もよく見かけるタイプだと思います。基本的な構造は、ウエストベルト、背当て布、肩紐、長さ調整する紐(ストラップ)、背中で留めるバックルです。

各種ベルト、紐、ボタン、面ファスナー等を調整することで、快適な装着感を生み出します。メーカーやモデルにより、部品は異なり、形も多種多様です。

赤ちゃんの抱き入れから、装着完了までのステップが少なく、誰でも直感的に使用できる良さがあります。但し、基本手順の内、事前の準備(調整)が最も重要となるタイプでもあります。また、ベルトや背当て布等の長さや幅の都合上、親子の体型に合わせられる限界があることも理解しておく必要があります。

ハーフバックルタイプ

バックル式と似たような構造ですが、大人の肩にかける部分が、細長い一枚の布になっています。布なので、好みの幅に広げることができます。広げた布を肩にかけ、背中で交差させたものを前方へもってきます。赤ちゃんのお尻の下で交差させたら、大人の腰部分で結ぶことが基本的な使い方です。

バックル式タイプに比べ、肩部分にかかる長い布の取り扱いに慣れる必要があります。一方で、肩にかかる布を広げることで、大人の体と触れる面積が増えるため、子どもの体重を分散しやすくなります。バックル式の手軽さに加え、大人の体の負担軽減や、柔軟な調整のしやすさの2つがバランス良いと言えます。

1枚布タイプ

部品のついていない、一枚の布です。長さ4m前後、幅が約30〜60cmが基本となる一枚の布。ベビーラップ(織物・ストレッチ)の他、兵児帯(へこおび)・一本帯といった、古くから日本で使用されていたものがあり、それぞれ素材や質感などが異なります。

布を大人の身体に巻きつけ赤ちゃんを包むように抱っこすることができます。安全性の観点から、使い始める時に、専門講師などから習えると安心です。

一枚布においては、基本手順で言う「3.引き締め」が特徴的です。布を引き締めることで自由に調整できる為、都度 親子に合わせてピッタリとフィットさせることができます。また、織物性ベビーラップについては、シンプルな一枚の布であることから、巻き方の種類が多いのも特色です。ストレッチ性のベビーラップは、伸縮性のある布で、親子の密着度が高いです。ベビーラップより幅が狭めの兵児帯は折りたたむとコンパクトになり、慣れると高い位置でのおんぶがしやすいと思います。

布の扱いに慣れるまで時間がかかりますが、慣れてしまうと、高さ・密着を得やすいことは魅力かもしれません。基本手順の内、準備(調整)と引き締めが最も重要なポイントと言えます。

リング付きスリング

長さ2m前後、幅が約60cm程度の布端にリングが2つ縫い付けられている構造です。左右どちらかの肩から斜めにかけ、リングにからげた布を引き締めることで使用します。首枕などクッション材の有無、素材など、メーカーそれぞれに特色があります。

一枚布タイプと似ていますが、布が短く、比較的手早く装着できます。但し、一枚布タイプと同様で、専門講師などから習えると安心です。首座り前から使用する場合は、頭〜首の部分を支える首枕を作って使用します。

おんぶひも

おんぶに特化したもの。背当て布から頭を支える板が着いており、Dカン部品に肩紐をからげて締めて装着します。昭和の時代から長く日本で愛されています。その他に、おんぶに特化したものとして、熊本県で古くから使われていたもっこ、複数の海外メーカーが製作しているonbuhimo(オンブヒモ)があります。

他の抱っこ紐との大きな違いは、赤ちゃんの脇の下に肩紐を通し、高くおんぶすることで、安定する点だと思います。重たく成長した赤ちゃんをおんぶをすることで、抱っこするよりも、大人の負担軽減が期待できます。

今回は、調整が細かくできるタイプをみてきました。もう一つの調整が限定されるタイプは次のブログでみていきます。

あとがき

ちょこっと裏話

抱っこ紐の分類方法はたくさんあります。他の団体からも次のような分け方が見られます。

抱っこ紐メーカーが集まって、啓発活動をしている抱っこひも安全協議会(参考2)では、スタイル別の特徴というページで次の5つに分けて紹介されています。

抱っこ紐 縦抱き、抱っこ紐 横抱き・抱っこ紐 おんぶ、スリング、ラップ

日本国内の多様な製品に認証されている、SGマーク。このマークを設けている一般財団法人 製品安全協会(参考3)では、製品形態の違いから次のような分け方がみられます。

背負い式(おんぶ)、横抱っこ式、縦抱っこ式、腰抱っこ式(ななめ抱っこ)

JaBAのガイドでも、どのような分け方が分かりやすいのか、議論に議論を重ねました。その中で、抱っこ紐の使用にあたり肝心な「調整」に焦点を当てて、抱っこ紐を分けて紹介ページを作成しました。ここ数年でも驚くほど色んなタイプの抱っこ紐がでてきています。JaBAのガイドで取り上げた他にも、抱っこ紐のタイプは幾つもあります。抱っこ紐を選ぶ時、「調整の部品、幅」に目を向けてみても良いかもしれません。

参考文献・サイト

  1. 日本小児整形外科学会 一般公開資料「先天性股関節脱臼予防パンフレット」
  2. 抱っこひも安全協議会 「スタイル別の特徴」
  3. 一般財団法人 製品安全協会 抱っこひも

知る機会をどなたにも

「あなたと赤ちゃんに合う 抱っこひもの選び方ガイド」は、手にとる方々がいろんな状況であることを想定して作成されました。抱っこは生まれたその日から始まり、場合によっては、小学校入学以降も続くこともあります。

育児動作の中でも、長い動作と言える「抱っこ」ですが、抱っこの仕方、抱っこ紐の選び方を改めて習っている方は多くありません。道しるべとなる本ガイドを利用することで、抱っこ紐にいろんな種類があること、選ぶ時におさえておきたいポイントを、どなたにも参考にしていただけたら幸いです。

あわせて読みたい

深掘り3:パパ・ママの置かれている状況に合わせた、抱っこ紐の選び方

深掘り2:快適”素手抱っこ”を抱っこ紐で再現すること

深掘り1:新生児から定頸前の赤ちゃんと抱っこ


日本ベビーウェアリング協会では、抱っこ紐を安全・快適に使用するためのポイント解説をした資料を作成・公開しています。自由に閲覧、印刷などしてご利用できる他、印刷版の受注も承っています。

地域によっては、子育てひろばや自治体の窓口に置いている場合もあります。お住まいの地域の近隣に置いている場所をお調べすることもできますので、お気軽にお問い合わせください。

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